“奴隷制度”批判を乗り越えるはずが…外国人ドライバー雇用に潜む「残酷な落とし穴」
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“奴隷制度”批判を乗り越えるはずが…外国人ドライバー雇用に潜む「残酷な落とし穴」とは
外国人トラックドライバーに対する特定技能制度が始まっているが、どうにもモヤモヤしてしまう。そもそも「外国人でドライバー不足を補う」という考え方自体、本質的な解決策になり得るのか疑問を感じるし、むしろ本制度に参加する運送会社は新たな苦労を背負い込むだけのような気がするからだ。そこで本稿では、トラックドライバー分野(自動車運送業分野)における特定技能制度を解説。外国人ドライバー雇用に詳しい行政書士やまぐち事務所 山口 嘉公氏へのインタビューや過去に行ったミャンマー人技能実習生への取材を交えつつ、同制度が抱える課題を明らかにする。
2027年4月「育成就労制度」がスタート
1993年に創設された技能実習制度は、「現代の奴隷制度である」と諸外国から批判されてきた。実際、2023年中には技能実習中の失踪者が、過去最高の9753人まで増えてしまった。
この理由は後半で考察するが、技能実習制度の抱える課題が顕在化したものと言えよう。この反省を踏まえて新たに誕生したのが、2027年4月1日に施行する育成就労制度である。
新制度において、外国人労働者は未経験からスタートして段階的に専門性を高め、最終的には日本での長期就労(永住権も取得可能)を目指すことができる。
「育成就労制度」「特定活動55号」とは何か?
最初のステップは育成就労である。原則3年間の在留期間で、基本的な技能と日本語能力を育成する。ここで日本語試験や技能試験に合格するか、良好に修了することで次のステップである特定技能1号へと移行できる。
特定技能1号は通算最長5年間、戦力として現場で活躍する期間であり、旧制度では現実的に困難だった転職も可能となった。特定技能1号として働く5年間で、さらに高度な技能と、現場のリーダーや監督者としての実務経験を身に付けることで、最終ステップである特定技能2号へとステップアップできる。
特定技能2号では、在留期間の更新上限がなくなり、それまで認められていなかった家族の呼び寄せが可能になるほか、永住権取得にも道が開かれる。
ただし、特定技能1号の対象となる16分野のうち、「航空」および「自動車運送業」の2分野は育成就労の対象から除外された。
これは職業の特性上、やむを得ない措置ではある。と言うのも、「自動車運送業」の場合、ドライバーという職業は運転免許を保有していることが前提だからだ。運転免許を持っていなければドライバーとしての仕事はさせられないため、「就労しながら技能を身に付けられるよう育成する」という育成就労制度が成立しない。
このジレンマを解消するのが、特定活動55号(告示55号、特定自動車運送業準備、2024年12月開始)である。トラックドライバーの場合は最長6カ月、バス・タクシードライバーの場合は最長1年、日本の運転免許を取得するための準備期間として設けられた。
当たり前だが、この期間中にドライバーとして働くことはできない(運送業における補助的な仕事はできる)。そしてこの在留期限内に運転免許(バス・タクシーは第二種)を取得できなかった場合、その時点で強制的に帰国させられる。

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