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外国人の派遣社員39.9万人は「異常な数」

外国人の派遣社員39.9万人は「異常な数」...ビザ別に見ると分かる就労制度の抜け穴・問題点とは

「不法滞在者が増え、犯罪を犯している」「外国人が日本の年金・医療にただ乗りしている」などと騒がれるが、実際はどうなのか

雇用の専門家である海老原嗣生氏が、日本の労働市場の現状から、外国人労働者をめぐる制度の仕組み、課題までを扱った新刊『外国人急増、日本はどうなる?』(PHP新書)より一部を抜粋する。

日本には240万人近くの「外国籍」就労者がいますが、その総数の伸びは、コロナ禍の2020~2022年を除くと、おおよそ年間20万人前後で推移してきました。直近は約26万人と少々オーバーペースが気になるところです。 いったい彼・彼女ら外国人は、どうやって職に就いているのでしょうか? 


その疑問に答えるために、就労するためのビザの種類から、対象が多い順に説明することにしましょう。

①技能実習生    47.1万人

②技術/人文/国際 41.1万人

③永住者      38.3万人

④留学生      31.1万人

⑤特定技能     20.7万人

⑥定住者      12.7万人

上の分類について、以下、補足しておきます。 技能実習生(①)と特定技能(⑤)、そして留学生(④)については、後段で詳しく書きます。 永住者(③)とは主に、「日本に10年以上在留し、そのうち半分以上の期間、就労していた場合に認められる」資格となります。定住者(⑥)は、南米などに移民した元日本人の2世・3世を指します。


昨今問題が山積の「技術/人文/国際」ビザ

「技術/人文/国際」(②)は字面からすると、とても高度な技術や知識を持つ人が日本に来ているように見えますが、中身は異なります。この資格で在留する人の多くが、大学を卒業した「普通のビジネスパーソン」です。


後述しますが、日本の大学を出て、新卒で就職する海外の留学生もこのビザを取得しています。 近年、留学生の増加とともにその数は増え、毎年3万人にも上ります。彼・彼女らは就職に伴い、学生ビザから「技術/人文/国際」ビザに切り替え、その後規定年数に達したところで「永住」申請をする、という流れとなります。


一方で、「技術/人文/国際」ビザを悪用して、脱法的な雇用をする企業も見られます。母国で大学を卒業している外国人が、日本の企業に就労が決まった場合、「技術/人文/国際」ビザは比較的容易に取得が可能です。


もちろん、その際の職務は、ホワイトカラーやエンジニアに限定されるのですが、日本企業の場合、「総合職」というあいまいな言葉でごまかして、販売や製造などの仕事に就かせることもできてしまうのです。


また、正規職員としての安定雇用ではなく、「派遣社員」として雇う場合でも、大卒者であれば、「技術/人文/国際」ビザが容易に取得できました。 派遣社員なので、派遣先が決まらない間は無給の待機期間も発生するでしょう。


また、派遣先は変わるので、その度に職務内容を確認することもできません。さらにいうと、派遣社員であったとしても、日本に10年滞在して5年以上就労すれば、永住権が取れる可能性があります。 こうしたことで、派遣を抜け穴に、外国人就労の監理が「ザル」になっている、かなり「危ない」状況にあったといえるでしょう。


ちなみに、現在、外国人で派遣社員として働いている人は、39.9万人にも上ります。雇用の専門家として、この39.9万人という数字は異常としか言いようがありません。なぜなら、日本全体で、日本人も含めた派遣社員の総数は2024年現在、154万人(総務省「労働力調査」)しかいないからです。なんと、派遣社員の4人に1人以上が外国人!


本来であれば、外国人は日本人以上に雇用管理を強化すべきであり、職務変更が容易で雇用保障も薄い派遣労働などは、原則、認めるべきではありません。実際、「特定技能」では原則、派遣事業は禁止されています。当然ながら、その趣旨にのっとれば、「技術/人文/国際」ビザの派遣事業も厳に規制すべきでしょう。


少なくとも、母国で大学を出た人が、いきなり派遣社員として「技術/人文/国際」ビザを取得することは、早急に禁止すべきではないでしょうか。


 
 
 

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