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日本語テストのニセ合格証で「特定技能」取得 実習生ベトナム人男女を逮捕

ニセ合格証で実習生ベトナム人の男女逮捕とは

 日本語試験などの虚偽の合格証を入管に提出し、外国人労働者の在留資格「特定技能」を不正に取得したとして、大阪府警がいずれも群馬県内に住むベトナム国籍で30歳代の男女2人を入管難民法違反(虚偽申請)容疑で逮捕していたことが捜査関係者への取材でわかった。2人は技能実習生だったといい、府警はより多くの収入を得やすい特定技能の資格を得る狙いだったとみている。


 捜査関係者によると、男は昨年3月、独立行政法人・国際交流基金の「日本語基礎テスト」と食品の製造や加工などをする「飲食料品製造業」の技能試験に合格したと偽った証明書を東京出入国在留管理局に提出。女は昨年8月、飲食料品製造業の技能試験の偽合格証を東京入管に提出し、それぞれ特定技能を取得した疑い。逮捕は男が今月8日で、女は22日。2人は資格取得後、食品加工会社で働いていたという。

 

 特定技能の資格取得には、日常会話程度の日本語能力の試験と、就業分野の技能に関する試験の両方に合格する必要がある。入管は試験の合格証や勤務予定の企業との雇用契約書などの提出を受け、資格を許可するかどうかを判断する。東京入管に提出された合格証には、2人の氏名や顔写真などが掲載されていたといい、府警が偽造の経緯を調べる。


 日本語基礎テストを巡っては、国際交流基金が昨年12月、「替え玉が疑われる受験が約100件ある」と府警に相談していた。府警は同月以降、テスト会場で依頼者になりすまして受験し、合格証を不正に入手したなどとして、ベトナム国籍の替え玉役や依頼者、仲介役の男女9人を入管難民法違反容疑などで逮捕。9人の供述などから、偽合格証を使った在留資格取得の手口が発覚し、2人の関与が浮上したという。


特定技能 =人手不足の分野で外国人労働者を受け入れるため、2019年に創設された在留資格。建設や介護、外食業など16分野が対象で一定の技能が必要な「1号」と、11分野が対象で熟練技能が求められる「2号」の2種類がある。在留期間は1号が最長5年、2号は事実上の無期限滞在ができる。6月末現在の在留者数(速報値)は1号が33万3123人、2号は3073人。


偽造依頼、SNSに複数 

 日本語試験などの虚偽の合格証が悪用される事件は過去にも起きており、SNSでは偽造を依頼する投稿もみられる。


 2023年7月、偽の技能試験の合格証を入管に提出し、在留資格を不正に取得したとして、ベトナム国籍の女が偽造有印私文書行使と入管難民法違反(虚偽申請)両容疑で香川県警に逮捕された。19年3月には、日本語試験の合格証を偽造したとして、別のベトナム国籍の女が有印公文書偽造容疑で大阪府警に逮捕された。女は調べに「日本の会社に就職するために必要だった」と供述したという。


 外国人労働者の問題に詳しい斉藤善久・神戸大准教授によると、SNSでは、日本語試験の合格証の偽造をベトナム語で依頼する投稿や、それに応じる内容の返信が複数確認されているという。斉藤准教授は「ベトナム人コミュニティーで合格証の偽造が一定数行われている可能性がある」と話す。

 

 出入国在留管理庁によると、在留資格の審査は一般的に書面の確認が主で、内容に疑いがある場合、事実関係を調査するという。だが今回の事件では、東京入管は合格証が虚偽だったことを見抜けなかった。

 

 元入管職員の行政書士・木下洋一さんは「在留外国人の急増で審査件数が多くなっており、時間をかけて偽造を見抜くのが難しくなっている」と指摘。その上で「不正が発覚した以上、試験の実施団体に確認するなどして、他にも同様の不正がないか調査する必要がある」と話している。

 
 
 

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